Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
―キーンコーン…カーンコーン。

1日の講義を知らせるチャイムが大学の敷地内に響きわたる。

大学中、一気に騒がしくなる。

あぁ…どうしよう…
もうすぐいつもの様にケンが迎えに来る。

毎日一緒に帰ってる。
でも…でもね…
今日は一緒に返れない。

ううん、一緒に帰るよ。

でも………

あこは落ち着きがない様子で回りをキョロキョロしている。

「あこ!」

ドキッ…

別に悪い事もしていないのに、体がビクンと反応してしまう。

「あこ?…今日は、一人で帰りな!
行くとこ…あるでしょ?」
エリがあこの右耳に囁いた。

あこは唇をキュッっと噛み締めてエリをじっと見つめた。

でも…エリ。

あこは、行かない方がいいんじゃないかな?…

行くのが怖いよ。

でも、今の言葉は…
エリは…行けって言ってるんだよね?

行ったら、何か起きる気がして…怖いよ。

『…行かない。』
あこの意外な言葉にエリは目を丸くしてしまった。
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