Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
あこはもう一度だけ、小さな花を見てゆっくりと歩き出した。

帰り道の事はあまりよく覚えていない。

ただ思い出すのは…

小さな花と“あこの花”という文字。

ケンが教えてくれた、花言葉。

ケンの涙。


あっちゃん?

あなたは、この花を植える時。
この花に何を託したの?
何を望んだの?
何を願った?


帰ってからもよく覚えていない。

ただ、真っ暗な部屋で、エリからの着信があるケータイを眺めていた自分しか覚えていない。

気が付くと、朝日があこの部屋を照らし出していた。

シャッ…
カーテンを開ける。
『…ッッ、まぶしっ!!』

あこは外を見渡した。
いつもと変わらない景色…
隣の家の犬が吠えている。
会社へ行く車が行き交っている。

――――!?

『………ん?』
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