Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
回りには、出店が公園の入り口からずっと奥までカラッっと並んでいる。

たこ焼き。
綿あめ。
おもちゃやさん。

桜で満開の木からヒラヒラと舞い散る春の雪。
ピンク色の雪。

池もピンク色に染まっている。

「あこ!わたあめ買ってやるよっ☆」

わたあめ屋さんの前で、ケンが手招きをしている。

『わぁいっ♪
やったねっ!!』

あぁ…わたあめかぁ。
あっちゃんも買ってくれたよね。
花火大会で。
あこが喜んだら、笑ったよね?

子供みたいだって…笑ったよね?

「おいちゃん!一つちょーだいっ!!」
ケンがわたあめ屋さんのおじちゃんに400円を手渡した。

「はいよ!
お兄さん達は学生さんかなっ?」
頭に白いタオルを巻いた、優しそうな笑顔のおじちゃんが、わたあめを割箸にくるくる、くるくると巻き付けていた。

『うん!そう!さぼって抜け出して来たんだ(笑)』

曇みたいなふわふわした糸がおじちゃんの回す割箸に巻き付いて行く様子をじっとみつめながら、あこが笑った。

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