Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
あこ、聞いてもいい?
ねぇ…ケン?
聞いてもいい?

「お願い…有美さんッ…お願いしますっ!!」
あっちゃんが、あこに隠している事を教えてください。

深く頭を下げるあこの目から流れる涙は、地面の土の上に落ちた。

パタッ…パタッパタッ…

涙が落ちた所だけが小さな小さな水溜まりになりそうだった。


有美は小刻に震えるあこの肩をゆっくりとおこしながら言った。

「…分かった。
あこちゃん…。

今の彼との関係が崩れてしまうかもしれない。
失ってしまうかもしれない…

それでも聞きたい?

今の幸せは、もう戻って来ないかもしれないわよ?」

有美はあこの目をじっと見つめた。

きっと有美さんには分かっていたんだね?

全てを知った時、どうなってしまうのかを…

有美さんは、分かっていたんだね。

何も知らないのは、あこだけだったんだ…

「えっ?…」

どういう意味?

ケンとの関係が崩れてしまう?

それは…嫌。

あこはうつ向いてしまった。

だって…
ケンとの幸せを失うなんて出来ないよ…

「大丈夫です!!」

背後からの力強い声があこと有美の体の間をすり抜けて行った。


その瞬間、あこと有美は驚きを隠すようにゆっくりと後ろを振り返った。

『…ケン!!』

ケンが立っていた。
有美を睨む様に見つめている。

その横にエリが涙を必死に堪えてしゃがみ込んでいた。
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