Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
あれ?

あんなにうるさいくらいのざわめきだったのに…

急にシーンと静まり返った公園。

…違う。
もうあこの耳には何も入って来ない状態だった。

たった一言を残して。

“俺は、今日、ガンを告知された。”

「嘘なんかじゃないっっ!!」

有美が大声をあげた。

嫌。嫌だ。
そんなの嘘に決まってる!!

有美さん、またあこを困らせたいだけなんでしょ?

これも、嫌がらせなんでしょ?

「あっ!あこ――!」
背中にエリの呼び止める声が聞こえた。

でも、わざと無視して走った。
ひたすら走った。

何かを振りきるように走った。


あっちゃん、あっちゃん…

ごめんね?

ガンと告知された時、どれだけ心細かった?

どれだけ孤独を感じた?
怖かったよね?

あこ、気付けなくてごめんね?

そばにいてあげれなくて、ごめんね?
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