Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
『…?うん?』

あこは良く分からないまま、ピンキーリングを小指から外してケンの右手のひらにそっと置いた。

「………(笑)」
ケンはあこの指から外されたばかりのピンキーリングをじっと見つめて、少し寂しそうに笑った。

『ケン…?』

どうしたの?
なんでこんなに寂しそうなの?

「よっしゃ…あこ!
勝負だ☆
…ジャンケンしよう?」

ケンはピンキーリングを持っている手とは逆の左手をぐうに握ってあこの顔の前につき出した。

『えぇっ!?(笑)
何ぃ?いきなりぃー!』
笑ってちゃかすあこの頭に、ケンの手がのっかった。

ケンが優しく微笑んだ。

「あこは、頑張り屋さんだなぁ。

こんなちっちゃい体のどこにそんなパワーあんだよ?(笑)」
ケンはとびっきりの笑顔をしているのに、なぜか不安になった。

『…ケン?』

どうしたの?
やっぱり変だよ…

怖いよ。
不安になるよ。

…だってね、今あこに見せている笑顔が、あの日のあっちゃんの笑顔とかぶる。

あこに別れを告げた日のあっちゃんの笑顔と同じ笑顔だよ…
ケン??

「あこ、もう、我慢しなくていいよ。
もう、耐えたり、頑張ったり、しなくていいんだ。

あこがしたいようにしていいんだからな!

…だから、ジャンケン!!」

『……?意味が…分かんないよ…』

本当はなんとなく分かってる。

分かる…

あこはうつ向いてしまった。

「あこ…顔上げて?
俺は…もう手伝ってあげないよ?


自分の力で、顔上げてみな?」

やだよ。
上げれない。
ケンが上げてよ…

「あこ!いい加減にしろよ…」

ビクンッ…
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