Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
ケンが出したのは………………

『あっ…………』

「………………。」


力一杯に広がっているケンの五本の指。

ケンが出したのはパーだった…

「ハハハッッ(笑)
初めてあこに負けたし!!

…残念だったな!あこ!このリングはもうつけれないんだぞ?(笑)

…行けよ。」

何かをぐっと堪えてケンはリングを握り締めながらうつ向いた。

『…ケン…あのね?…………でも…』

ケンに一歩近寄った。
その時。

「いーからっ!!
行けよ、行けってっ!

あこが…あこの決めた、あこが選んだ道だろ!?

迷うなよ、もう…行けよッッッ!!」
どなり声に近い声だった。

ビクッ…

ケンの初めてのどなり声に驚いてしまって固まってしまった。

『…ッッ…』

「あーっ!もうっ!!」

なかなか動かないあこに痺を切らしたケンは、力ずくであこを大学とは正反対の方向へ向かせた。

あこの背中に触れるケンの両手が震えているのが分かった。

「泣くんじゃねぇぞ?

後悔だけはするなよ?

…次、この大学の門をくぐる時は、とびっきりの笑顔でくぐれよな?

泣いて来たりしたら…マジで許さねぇ!!」

…トンッッ!!

ケンは力一杯、あこの小さな背中を押した。

『…ッッ…ケン!!』
あこが後ろにいるケンを振り返ろうとする。

「バカヤロ!!
振り返んなっ………………

行けッッ!!」

ドクン……
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