Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
ガクン………


「ハハッ…(笑)
あこのヤツ…マジでジャンケン弱すぎ…。

あこは、いっつも、チョキばっか出すんだよなぁ…(笑)

…ック…ちく…しょ…」
ケンはその場に倒れ込む様にしゃがみ込んだ。

コツ…コツ…

「ケン!…かっこいーじゃん!(笑)」
しゃがみ込むケンに寄って来たのは、エリだった。

「…エリ!」

「ごめん!全部見てた……

昨日の夜、ケンがウチに来て、“あの男の入院してる病院分かんねぇ?”…なんて言うから…

きっとこんな事だろうと思って、ずっとつけてた…

ケン、あんたかっこいいじゃん!

惚れちゃうねっ!(笑)」
エリは、ケンに手を指しのべながら、微笑んだ。

「…ッ(笑)。
ハァ?…今頃気付いたのかよ、エリ!」

ケンの肩が小刻に震えていた。

「まぁねっ!!(笑)
今日はみんなで、失恋パーティー開いてやるよ!」
エリはちょっぴり偉そうに、腕組をした。

「エリ…てめぇ(笑)」
ケンはそう言って笑って、空を見上げた。

思ったよりも、スッキリと晴れわたった綺麗な青空だった。



あこは夢中で走り続けた。

もう振り返らない。
ただ、ひたすらに前だけを見つめて走った。

『ハァ…ッ…ハアッ、ハアッ…』

ケン…
ケン、ありがとね?

本当にありがとう。


でも…ごめんね。
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