Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
夜空は、輝きを失い、大量の灰色の雲が覆い尽していた。

その雲は、大きな無数の花達が全て咲き終えた事を知らせていた。

辺りがざわめきを取り戻した。

「ハァ…今年も花火終わったなぁ~、夏も終わりだなぁ~!!」

小さな溜め息を溢すヒロトくんは、エリと手を繋いだまま、肩を落とした。

「来年も来りゃあい~だろっ!何落ちてんだよ!

さて、帰るか~!」

あっちゃんも、あこの手を握ったままだ。

人の流れに乗って、花火大会の会場を後にしようとした時だった。

「あれ~っ?
アツシとヒロトじゃ~ん!」

誰かが後ろから声を掛けて来た。

振り返ってみると、2人組の男の人が大きく手を振りながら立っていた。

彼達の手には、白いビニール袋がぶら下がっていた。

中身はお酒が大量に入っている事が分かった。

「お~!!マコトにタケルじゃねえか~っ!
何でここに居んだよ~?」

ヒロトくんが、2人に向かって右手を振りながら笑った。

あっちゃんも右手を挙げながら、八重歯を見せて笑った。

すると、マコトくんとタケルくんは、小走りであこ達に駆け寄ってきた。

「久しぶりじゃねぇ?
お前らも花火見に来てたのか!」

「いつものメンツ揃って、そこの川原で飲んでるから面出せよ~!
その子達も連れて来ていいし!」

2人共、かなり酔っているのか、やたらとテンションが高い。

え~、行きたくないなぁ…
何かヤンキーっぽいし…

2人共、白に近い位の金髪。
夜の暗闇でも目立つ位だ。

正直、行きたくなかったけど、あっちゃんもヒロトくんも行きたそうだったから、渋々ついて行った。

花火大会の会場からすぐ近くの川原に着くと、そこには、男が5人と女が3人居た。

お酒を片手に、煙草をスパスパと吸っている。つまみやら、お菓子やら、大量に散乱していた。

きっと、この川原から花火を見ていたのだろう。

確かに、人気が無くて、最高の穴場。
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