Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
「よーす!!やべぇ久しぶり~!!」

ヒロトくんが、皆に向かって手を振ると、8人が一声に騒ぎ出した。

「「あ~!!ヒロト~!アツシ~!」」

立ち上がる人もいれば、手を振る人もいる。

そんな大騒ぎの8人に向かって、ヒロトくんは、エリと繋いでいる手を上に挙げて、ブンブン振り回した。

「見てくれ~!!
コレ、俺の女ぁ~!!可愛いだろ~♪」

ヒロトくんは、皆にエリを自慢した。

ヒロトくんってば☆

でも、そうだよねっ!嬉しいよねっ!!

何年も…ずーっと、ずっと、エリの事だけを想い続けて来たんだもんねっ?

「どぇ~!マジかよ~!」

「ヒロトに女ぁ~?しかもマジでめんこいし!」

8人の視線は、一気にエリへと突き刺さった。

「やだもうっ!ヒロトが騒ぐからぁ…恥ずかし~!」

エリは恥ずかしさを隠す様にうつ向いてしまった。

いいなぁ~、エリ。

今のあこには、皆に冷やかされるエリがちょっぴりうらやましい。

エリは両想い。
あこは片想い。

「あのさ~!さっきから気になってんだけど…そっちの小さい子は?…アツシのか?」

マコトくんがあこをじっと見つめている。

やだな…どうせ、違う~!!って、全否定されるに決まってる。

当たり前だ。
別にあっちゃんと付き合ってるわけじゃない。

手を繋いでる理由は、あこが迷子にならないため。
…ただ、それだけの理由。

あこは、不安な面持ちであっちゃんの顔を見つめた。

「違う…けど、俺の超大切な子!!」

…………えっっ?

あっちゃんは、繋いだ手をもう少しだけ強く握り直した。

大切な子?…って?
嬉しい…けど、どういう意味なの?

あっちゃんも、あこを少しでも好きだと思ってくれてるの?

それとも…単なる妹として?

なんとなく、手に汗を握ってしまった。

「はぁっ?何じゃそりゃっ!!意味深だな~…まぁ、とにかく飲もうぜ♪」

マコトくんは、ビールを片手に手招きをしている。

「うぃーっす、乾杯~!!」

ヒロトくんは、美味しそうにビールを一気に体の中へ流し込んだ。

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