Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
しかも、回りの皆にも聞こえてしまったくらい、大きな声を出してしまった。

4、5m離れた所から、エリとヒロトくんが、ポカーンと口を開けて、あこを見つめていた。

「プッ…あこ?」

ポンポン…

あっちゃんから優しく頭を撫でられて、ハッっと我に返った。

『あっ……』

うわわっ!
皆こっち見てるよ~…

今の、かなりまずかったかも…

「あこ?有美のヤツ、酔ってるからさ…酔っぱい本気で相手にすんなっ!…でも、ありがとなっ!」

あっちゃんの笑顔は、やっぱりホッとする。

安心する魔法の薬みたい。

「有美~、ちょっと来て~!」

あこ達の所から少し離れた場所に座っている2人の女の人が、有美さんに手招きをした。

2人も、有美さんほどじゃないけど可愛い。

派手目なギャルって感じだ。

「あ~い、今そっち行く~!!」

有美さんは、ビールが半分位入った紙コップを持って立ち上がった。

ふわ…

何の香水かな?凄くいい香り…

甘くて、優しい香りが、あこの鼻を通り抜けた。

あこは、その甘い香りにつられて有美さんを見上げた。

ビクッ

有美さんを見上げた瞬間、あこの体が勝手に反応してしまった。

何…有美さん、怖い。

有美さんは、腕組をして、しゃがんでいるあこを睨む様にじっと見ていた。

…その強い目つきに、体がこわばってしまってうまく動けない。

気付いた時には、あこの方から先に目を反らしていた。

キュッ…

なんとなく、あっちゃんの服の袖を掴んでしまった。

「おっ…どーした?あこ?」

ウーロン茶の入った紙コップを口に運ぼうとしたあっちゃんが、あこの顔を覗き込んで来た。

ホッ

やっぱり、あっちゃんの笑顔は、魔法の笑顔なのかも…
< 53 / 376 >

この作品をシェア

pagetop