Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
ズデッ

やっぱり、浴衣をたくしあげて走ってみた所で何も変わらない。

やっぱり走り難いものは、走り難い。

またコケてしまった。

『あぁ~もうっ!走り難いっ、着替持って来れば良かった~…』

「バーカ!」

直ぐ後ろで、あこをバカにした様に笑う、あっちゃんの声が聞こえた。

『…あっちゃん!笑ってないで、さっきみたいにあこの事起こしてよっ!!』

あこは、維持けた様に口を尖らせた。

砂浜に座り込んだまま、あっちゃんに向かって、大きく両手を広げた。

まるで、だっこをせびる赤ちゃんみたいに。

「ハァッ?甘えてねぇで自分で立ちなさい!!…何歳だよ!」

『…あっ!…痛たたたぁ…足痛めちゃったぁ~』

本当は、足を痛めたなんて大嘘。

あっちゃんに起こして欲しいだけ。

ただ、甘えてみたいだけ。

「痛めたとか、ぜってー嘘だし!…ったく、しょうがねぇなぁ~、わがまま女!」

わ…またあの笑顔だ。

口はこんなに悪いのに、笑顔はこんなにも優しいの。

あっちゃんは、座り込んで、両手を広げるあこに、ゆっくりとダルそうに歩み寄った。

そして、両手をいっぱいに広げるあこの両脇を抱え、あこを軽々と持ち上げた。

「あ~ぁ、また砂だらけじゃねぇか…もう走んな!プクク…どうせまた転ぶんだから…クハハハハ!!」

『はぁい…サンキュー。』
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