Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
ゴソゴソ…

あこは、何かを決意した様に、携帯電話を鞄から取り出し、握り締めた。

…ピッ…ピッ

♪トゥルルルル

「…もしもしっ?あこ!あんた何処に居るのっ?」

あこが電話をかけた相手は、お姉ちゃんのまこだった。

お姉ちゃんは、3コールもしないうちに、心配した声で直ぐに出てくれた。

『あ、お姉ちゃん?
お姉ちゃん…お願いがあるんだけど…』

そう切り出しながら、横で運転中のあっちゃんをちらっと見た。

「………」

あっちゃんだって、1人の男だ。

何かを感じ取った様な表情で黙り込んでしまった。

「何よぉ?お願いって…あんた帰り遅くて、心配してたんだよ?」

お姉ちゃんは、ちょっぴり怒りっぽい口調だ。

ゴクリ…

その口調に、一瞬戸惑って唾を飲み込んだ。

『ごめんね、連絡もしないで…あ、でもね…でも、あのねっ?

あこ、今日、彼氏と一緒に居たいのっ!!だからね…あのね…』

言う事は決めていたはずなのに、その先がどうにも言い出せない。

でも、流石だ。
流石、仲良しのお姉ちゃんだ。

「ハッハ~ン…OK♪
しょうがないねぇ、アリバイでしょっ?
OK、OK、任しときな~!!」

こんな時、姉妹仲が良いのはお得だ。

『え~!!いいの~?ありがと、お姉ちゃん!』

「で、も!その代わりに、駅前のシュークリームね!!」

お姉ちゃんは、駅前のケーキ屋さんのシュークリームに目がない。

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