Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
ドアを閉めると、あこを降ろした車は、ゆっくりと動き出した。

あこは、車が見えなくなるまで手を振ると、玄関へ向かい、チャイムを鳴らした。

ピンポーン

「はぁーい!どちら様?」

インターホンからは、お馴染の声が聞こえて来る。

お母さんの明るくて、優しい声。

『あこ~!ただいまぁ~!』

「あら、あこなの?今開けるからね!」

ガチャ

『ただいまぁ~!!』

「おかえり、ご飯まだでしょう?手、洗ってらっしゃい!

あら…その格好どうしたの?誰の服着てるの?」

『あ…これは…』

そうだったぁ~!
あっちゃんのスウェット借りて来たんだった…

何て説明しようか…

「まぁ、いいから、早く上がんなさい!」

いつものお母さんの笑顔なのに…後ろめたいなぁ。

昨日、お姉ちゃんを使ってまで嘘付いちゃったしなぁ…

彼氏が出来た事を隠してるわけだし。

別にやましい事があるわけでもないのにね…

今まで、お母さんに隠し事なんてした事なかったんだけどなぁ~。

「あっ、あこ!おかえりぃっ♪」

お姉ちゃんもリビングから顔を出して、あこを迎えてくれた。

『ただいまぁ…』

靴を下駄を脱いで、家に上がろうとした時だった。

ピンポーン…

家の中に、チャイムが鳴り響いた。
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