不思議の街の不思議な話
私の困惑する表情を見て、部屋を退屈しのぎのようにうろつき始めたザッカリーは、ゆっくり話し始めた。
「ブラン君とは同い年だし、あと互い良家の出身という事もあって小さい頃から仲良くしていてね....、これでも昔はよく話しが合ったんだ。」
「...」
「....だが、最近のローズブレイド家は調子に乗りすぎだ。」
一通り部屋を見回したザッカリーは、レイリーが施した装飾に対して「随分とファンシーな趣味だな」といったような顔を浮かべていたが、気にせず続きの言葉を紡ぐ。
「...出来たら大切な旧友を裏切るような真似というのはしたくないのだけれど、これも心苦しても仕方がない。」
そう言って胸を抑えたザッカリーだったが、私にはどうも本心には思えなかった。