不思議の街の不思議な話


しまったと思ったが後の祭り。不覚にもそれはザッカリーに拾われてしまう。

「....ローズブレイド家の家紋...。ブラン君、自分の持ち物にはこういうもの持たせるの、変わってないようだね。」

ブランに護身用にと渡された小さなステッキ型のお守りを、目を細めて観察したザッカリーは独り言のように呟いた。

「返して!」
「....とりあえず、魔法を無効化してからね。」

ボフンと音がして、ザッカリーはステッキの何かを吸い取っているようだ。

「....。嫌だね、シーランド家の魔力を弱めるような術式が組み込まれているじゃないか。オレのこういう行動も予測してたのかな、ブラン君。傷つくね。」

また心にもないような事を言ったようなザッカリーは、吸い取り終わると私のポケットにわざとらしく丁寧にしまった。
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