不思議の街の不思議な話
バラの香り...で、すでに嫌な予感がしたが、喉の痛みが治まってから、私が寝かされているその広い部屋を見渡せば、言わずもがな誰の部屋かわかった気がした。
「ザッカリー....」
苦々しく呟いてみたが、部屋には私以外は誰もいない。私はべっどからそっと起き上がって、寝間着のまま裸足で大理石の床を歩き出す。
きっと私は誘拐かなんかされて連れてこられたんだ。それで私が眠っている間にあの男は....
自分の考えにギョッとしたのもつかの間、さっきまで誰もいなかったはずのドアの前に、脳裏に浮かんでいたその人物が立っていた。