不思議の街の不思議な話
と、ザッカリーは急にクルリと回って踵を返し、部屋を出て行こうとする。
「ちょ...ちょっと待って!! どこいくのよ!? 実験施設って!!?」
「...君、思ったより何も知らされてないようだね。これは愉しい。ブラン君もなかなかやるな。」
ザッカリーは振り向きもせず、サッサッと歩く。
「何が何だかさっぱりわからないわっ! 説明しなさい!!」
「オレに命令は100年早い。」
キッパリ言って、ザッカリーは部屋のドアを閉める。あとを追おうと私がドアに手をかけた瞬間、ガチャと開いてザッカリーが顔を半分覗かせる。
「ブラン君が迎えに来るから、君はそこで待ちたまえ。あと、そういうはしたない格好で外をうろつこうとしないこと。品がない。」
あまりの忠告に、面を食らって何も言い返せないでいる私の鼻先で、「それからその髪も、なんとかしなよ。」と付け加えてドアは静かに閉められた。