不思議の街の不思議な話
「何、納得したんじゃなかったの?」
「いや、よく考えると異世界転移とかありえないでしょッ!」
一人コントのように突っ込む私に、男はケラケラ笑いながらお茶を薦めてきた。
「そういや名前、聞いてなかったね。」
さらりとツッコミを交わして男が聞いてくる。ヘラッとしているのが通常運転の彼が、真面目に視線をこちらによこすと、改めてその整った顔に関心してしまう。
「普通、そういうのは自分から名乗るものでしょ。」
「俺の名前はブラン。」
間髪入れずに返してきた。うっと詰まる私に、男は視線で答を促した。
「私の名前は…ルカ。」
なんで下の名前を言ってしまったか。男が下の名前しか言わないのできっとつられてしまったのだ。これでは初対面なのにいきなりファーストネームで呼び合うことになってしまう。
「ルカ、いい名前だね。」
ほら、早速だ。