甘々なボスに、とろけそうです。
06:変態・ドS・鬼畜眼鏡



変態・ドS・鬼畜眼鏡
___________*



1階までエレベーターで降りてくるも、ウィルくんらしき人影は、そこにはない。


(さすがに、もう帰っちゃったかな……)


足が痛い。ヒールに慣れていないためだ。


「やぁ。また会ったね」


(!)


振り返ると、そこには、


「うわっ……変態眼鏡」


――声に出た。


「……口のききかた、教えてあげようか?」


二度あることは三度ある、とは言ったものだが。同じ建物とはいえ、こうも出会うものだろうか。


「仕事は? サボり?」


「さ、サボっていないです!」


「クビになった?」


(!!)


……痛いところをつくなぁ。追い出されたが、別に私はまだクビになったわけではない。


「……あなたこそ、暇なんですか」


「失礼だねぇ。僕は人気者なんだ。じっとしていられないだけだよ」


どうぞ人気者なら、私にかまわず行って下さい。


「ため息ついてたね」


(!)


「悩みでもあるの?」


目ざといな。その眼鏡には、お悩み感知レーザーでも入っているのですか。


「僕が聞いてあげようか。30分5万で」 


「ぼったくりですか」


弁護士に相談すると、1時間1万円程度が相場だと聞いたことがある。10倍じゃないか。

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