甘々なボスに、とろけそうです。


「これで、私が怪しい者でないと、わかってもらえましたよね?」


「兄を利用して玉の輿を狙うとは、見かけによらず、怖い子だね」


(だから、違うってば……!!)


眼鏡の奥で目を細め、ニタニタと笑いながらコーヒーを飲む新條さん。これはもう……勘違いなんかじゃない。単純に、私の反応を見て面白がっているのだろう。

なんとか、抜け出さなければ。このまま変態の餌食になってたまるか。でも、待てよ。モテ要素のあるマイペース人間という点では、新條さんはあの子と共通している。


「新條さんは、15の頃……どんな子でした?」


「そんなこと聞いてどうするの」


「その年代の子と仲良くするには、どうしたらいいですかね」


「仲良くって、男女的に? 君、ストライクゾーン広いんだね」


なにを言い出すんだこの人。


「い、いえ。恋愛関係になるわけでなく、あくまでもフレンドリーな感じで!」


「15っていえば、中3か高1か。男子校だったし、女の子と関わってなかったな。他校の子に告白されることもあったけど、断ってた。デートに時間使うなら本読んだりしたかったし」


そっか。新條さんは……チャラくても、弁護士だもん。思い返す学生時代といえば、勉強一色なのかもしれない。マジメくんが、いつどこで変態になってしまったのだろう。

新條さんは、懐かしむように続けた。


「そういえば、中学3年間うちに来てた家庭教師とは仲良かったよ。美玲っていう大学生だったんだけど。名前の通り、ほんとに美しい女性だった」


それならちょうど、ウィルくんと私の年の差と同じくらいだ。

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