甘々なボスに、とろけそうです。
「やだなぁ、僕はいつだって紳士だよ。女性に対してはね」
ほんとかなぁ。どれだけの女性がこの人に泣かされてきたか、わかったもんじゃない。紳士の仮面をかぶって近づいてきて、恋に落ちたら、実は超絶プレイボーイでした――なんて、悲しすぎる。
「紳士なら、たった1人の女性を愛すべきでは」
「妙なことを言うね。君は僕に、自分だけ愛してと、そう言いたいの?」
「ち、違います! なんだか寂しいです……身体だけなんて。心も通わせたくないんですか」
「それは、君の価値観でしょ。たしかに、身も心も愛してって女性が多いのは否めないよ。でも、求めるものは人それぞれ違うよね。僕も、僕が関係をもつ女性も、お互いに深入りしたくはない。そこになんの問題があるの?」
「……っ、だって、子供ができるかもしれない行為ですよ。それを不特定多数の人と、度々淡白にできちゃうものでしょうか。その全てに、本当に愛はないんですか」
「脳内少女漫画なんだね。お花畑ちゃんって呼ぼうかな」
「い、嫌です」
「だったら、そんな綺麗ごと言わないでよ。無責任なことしてるつもりはないから。どうせ君も、僕が迫れば雰囲気にのまれてヤっちゃうんでしょ」
「やりません!」
「どうだか」
「……ほんと新條さん、少なくとも私の前では紳士じゃないですから。自覚足りないんじゃないですか?」
すると新條さんは、驚きの表情を見せた。オーバーでも作った顔でもなく、素でビックリしているように見える。そして、笑った。