甘々なボスに、とろけそうです。
【今、ビルの前。どうすればいい?】
それだけメールしておいた。
茶封筒の中身はなにか知らないが、大事なものに決まっている。
これを、信用できない人に預けるわけにもいかない。私の手で、確実に、兄に届けねば。
と、すぐに携帯に返信が届いた。
【ご苦労。はやく来い】
(――は?)
兄よ。それだけですか?
ってか、そんなキャラじゃないよね。私の知っている温厚な兄はいずこへ……。
仕事になると人が変わるの? 俺様なの?
いつの間にセレブの仲間入りしたのかも、疑問でしかないわけだが。
「……大きいな」
見上げると、50階くらいはありそう。
この庶民に……魅惑のビルに入れというの!?