甘々なボスに、とろけそうです。
「新條さん、お疲れ様です」
「みこのことありがとうございます」
――!?
「もてなすつもりが、こっちが癒されたよ。僕も妹欲しくなっちゃった」
エレベーターを降りたところに、なぜか里香子さんと兄がいた。2人は今夜、ここに泊まる気なの?
そして、新條さん。爽やかさが200%上昇しています。さっきまでと、全然違う。新條さん、私は、あなたがわからないです……。
「よかったら、新條さんもどうです。私たちと」
(は……!?)
りっ……、里香子さん。みんなで、ホテルって。どういう展開ですか!?
慌てる私をよそに、新條さんは、どうしてそうも余裕綽綽とした表情なのだろう。私なんて、あなたにエレベーターで抱きしめられた感覚が、まだ残っているのに。
「喜んで――と言いたいところだけど、遠慮しとく。さすがに家族水入らずには、入れないや。まだ仕事も山積みだし、また事務所の連中誘ってみんなで飲もうね」
「楽しみにしてます。あまり、無理しないで下さいよ。……新條さん、いつ休んでるんですか?」
「あはは、僕、仕事が恋人だから」
(あっれぇ……?)
「お、お兄ちゃん」
私は、兄の袖を引っ張って、声をひそめて話す。
「……こ、ここは?」
(ホテルじゃ、ないの?)
「レストランのある階だよ。ほら、ボスが予約してくれただろ。みこが新條さんと一緒のこと里香子に話したら、里香子から新條さんに、みこを連れてきて欲しいって連絡入れてもらったんだけど……あれ、聞いてない?」
え?? いつの間に、新條さんに連絡が?
携帯確認する素振りなんてしていたかな。さりげなさすぎて気づかなかったのかも。