甘々なボスに、とろけそうです。


「どうか、されました?」


声をかけてきたのは、まさにジェントルマンって感じのオジサマ。

背筋なんてピンとして、お屋敷の執事でもやっていそうな。

もしかして、『B.C.square TOKYO』で働いている人だろうか。


「実は……」


待てよ。お兄ちゃんが忘れ物をしたなんて失態、どこの誰かわからない人に言うのは……マズくない?


「?」


首をこてん、と傾けて笑顔で私を見るオジサマ。

不覚にも、ときめいてしまった。年が、親子ほど離れていそうなオジサマに。

年上の男性って、なんでこう、魅力的なのかな。

背広ってカッコいいよね。お仕事してます! って感じで。


「お嬢さん?」

(はっ!!)

いけない。見ず知らずのオジサマにときめいている場合ではない。


「そこのビルに用事がありまして。でも、こんな格好で近付くのは、なんだか場違いだといいますか……それで躊躇しています」


すると、オジサマは、ニコリと笑った。くしゃっとした笑顔が可愛い……。


「そんなことないですよ。可愛らしいお嬢さんも、気軽に利用して下さい」

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