甘々なボスに、とろけそうです。
私がボスと、どう付き合いたいか……? どう付き合うもなにも、義理の兄と妹っていう関係で、それ以上でも以下でもないよね。夏休みが終われば、そうそう会うこともそうないだろう。それこそ里香子さんと兄の結婚式とか、大きなイベントでもなければ。
「あの、里香子さん。大歓迎って……なにがですか?」
「裕樹、ミコちゃんって、天然すぎない?」
「あぁ。だから、なんていうか……色々、まだ早いと思うんだよ」
「そんな過保護でいると、いつまでも箱入りちゃんよ?」
里香子さんと兄が顔を見合わせてなにか言っているが……、これいかに。
「兄さん、口は悪いけど顔は悪くないでしょ」
口、悪いかな……? もはや優しいイメージがついてしまい、いまいちピンとこない。
「みこは、今付き合ってるやつとか、好きなやついる?」
(!?)
「なに、いきなりっ」
「あらあら、動揺しちゃって」
突然兄から恋バナをふられれば、焦りもします。これまでそんな会話、したことなかったのに。
白ワインをクイっと飲み干した時、店員さんがそばに来ておかわりをついでくれた。勢いで、おかわりも、ぐいっと飲む。
「い、いないよ……彼氏は」
「好きな人は?」
と、間髪をいれずに里香子さんに問い詰められる。
「……っ、えぇ?」
「そっかぁ。いるんだぁ。……大学の人?」
「いえ、違います」
……って、里香子さん、怖いです。目が据わってます。