甘々なボスに、とろけそうです。
日頃忙しいボスに休んでもらいたいなという気持ちと、まだ起きてて欲しいなというワガママが、入り混じる。ボスはお疲れだから、できるならゆっくりしてもらいたい。
それでも、もっと色々話したいし、ボスが知りたい。自分がここまで欲張りだったとは……。
それで、このあと、私はどうなるのだろう。ボスと。この先になにが待っているか、未知すぎる。
鞄からスマホを取り出し、猫プリを立ち上げる。いつもなら、湯上がり後、就寝前はたいていゲームをしている。画面上の王子様に癒されているわけなのだが。
今、私が一緒にいるのは、2次元男子ではない。
「コタロウ……私、どうすればいい?」
アプリゲームの推しキャラ、コタロウ。元アメリカンショートヘアの擬人化である。銀髪に、黒メッシュ。好奇心旺盛でイタズラ好きな、可愛い男の子だ。
「好きな人の家に、きちゃったよ。でも、女の子には、見てもらえてないんだよね。なんて、聞いても答えてくれないよね……」
「そうでもないぞ」
(へ?)
コタロウが、喋った……わけではなく。振り返るとボスがいた。バスローブまで黒だ。今の話、聞かれちゃった!?
「ボス、かみ、が……」
「ん?」
オールバックだった髪が、おりてる。そして、毛先から雫が滴り落ちている。それを、タオルでぬぐうボス。なんていうか、ワイルドさが半減し、その分色気が増してます。
「あの、えっと……『そうでもない』って、なにがですか……?」