甘々なボスに、とろけそうです。


するとボスは、すました顔で「言葉にするのは、いささか難しい」と言った。


「今のは、ただの……スキンシップですか。ボスにとって、キスは、こんなに簡単にできちゃうものなんですか。恋人同士でする特別なものでは、ないのですか……?」


思わずうつむく私に、「顔をあげろ」とささやくボス。


「なら聞こう。ミコは俺と、恋人になりたいのか?」


「……っ、そりゃ、好き……ですから」


「そうか。だったら、なろう」


頭が、まわらない。今、なんて?

困惑する私を、ボスが抱き寄せた。


「俺にとって大事なのは、ミコと今、こうしていられることだ」


「ボス……」


「そろそろ、名前で呼んでくれないか」


「私、ボスの名前、知りません」


「隼人」


「ハヤトさん……。なんか、ボスって呼ぶ方がしっくりきちゃいます」


「2人でいる時は、名前で呼べ。でなきゃもう相手してやらない」


「えぇっ!?」焦る私を、一層強く抱きしめると、「……ふっ、冗談だ。俺がミコを離すわけないだろう? 今夜は朝まで一緒だ」と意地悪っぽく言う。


「あっ、朝まで……ですか?」


心臓が破裂しそうです、ボス。


「当たり前だ」


ニヤッと笑うとボス……、ハヤトさんは、

「こんなこと、ミコにしかしたくないよ」と2度目のキスを、私に落とした――。


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