甘々なボスに、とろけそうです。
食べているのは……棒つきの飴かな?
って、ジロジロ見るのは失礼だよね。それに今は、美少年を観察している場合ではない。
(さーて、もう1度、兄に連絡を入れよう)
少年から少し離れた、同じL字型ソファの端に腰を下ろす。
【27階の受付まできたんだけど、│】
携帯を操作していた――その時。
「ねぇ」
声をかけてきた。金髪くんが。
――それも、すぐ右隣から。
携帯に気をとられていて、そばまで来たことに気付かなかったんだ……!
「な、なんですか?」
「ひょっとして……」
ひょっこり、顔を覗き込まれる。あまりにも近いので、思わず後ずさりしそうになったのだが、そんな私の心の内が露骨だったらしく――ソファから立ち上がる前に、手首を掴まれた。
驚いて、左手に持っている携帯をうっかり落としそうになる。
「逃げなくても、いいじゃん」
とても細くて、白くて、冷たい手。
「……あの」
「ミーコ、だよね」