甘々なボスに、とろけそうです。
「ウィルくん」
ネイビーのカーディガンに、白シャツ。カーキのパンツは夏らしく、やや丈が短めのもので、ヒールの高いパンプスを履いた――ショートカットの女性が近づいてくる。
「サナエ。今日も相変わらず綺麗だね」
そう言って、金髪くんが、女性を抱きしめる。そして、女性の頬にキスをした。
(わぁ……!)
挨拶とわかっていても、こういうのは間近で見ると……なんだか照れるものだな。
「綺麗なのはウィルくんでしょ。相変わらずピチピチね? 社員証、まーた忘れて」
「ありがとう。助かったよ」
(………え?)
「その子は?」
チラッと顔を見られた。凄い目力。すぐに視線は金髪くんに戻される。
「ミーコだよ」
「可愛いじゃん。ウィルくんの、彼女?」
いやいや。彼女だなんて、そんな……
「んーん。ボクは彼女にするなら、サナエみたいな人が良いな」
そう言って、可愛く微笑む。まわりに花でも咲きそうな、とびきりの笑顔だ。
いや、咲いている。少なくとも私の目からは今、金髪くんのバックでピンクの花が咲き乱れたように見えたよ。