甘々なボスに、とろけそうです。
すると、室井さんから笑顔が消えた。
私、なにか、失礼なこと言ったかな!?
「良い子ぶってます?」
「……はい?」
「ワガママ1つ言わず、一生懸命仕事に励もうとする私を見て高感度を上げて欲しい……ということですか?」
いやいや、室井さん。それはいくらなんでも、悪くとりすぎです。
捻くれています……!!
「私はただ、ここで働く機会を無駄にはしたくないだけです。だってここは、私が兄の妹でもなければ、足を踏み入れることのできない場所ですから。それを、自分で何から何まで決めるなんて……そんなこと、とてもできません」
「ここのフロアの社員が、平均いくら給与をもらってるかご存知ですか?」
「い、いえ……」
「年収にすると数千万です」
(!?)
「兄も……ですか?」
「もちろんですよ」
き、聞いていない……!!
高所得者がいるって噂は、本当だったんだ。
「そんな場所でなにを遠慮しているんです?」
「同じ場所で働くにしても、できることが違いすぎるじゃないですか。資格があるわけでも、特別人に自慢できるスキルもない私が同じ天秤にかけてもらえるわけないです。そんなの、駄目です!」
「…………」
「室井さん?」
「気に食わないです」
(えぇっ!?)