甘々なボスに、とろけそうです。


室井さんが私の隣に座り、凝視してくる。


(なに……!?)


「綺麗事を聞くと、虫唾(むしず)が走る性分でして」


「えっ?」


「社長に、このまま取り入ってやろうって魂胆ですか?」


「なっ、なにを、勘違いして……」


「その方が、ここに好きなことを書くより何倍もメリットありますもんね」


「あの、む、室井さん?」




「――その辺にしとけ、室井」



ボスが室井さんに声をかけると、室井さんはすぐさま立ち上がり、ソファから離れた。


と、次の瞬間。


――ビリビリッ


(……!!)


ボスが契約書を破き、そこらに捨ててしまった。


「おやおや、掃除が大変ですね」


「知るか、お前が作ったものだ。乗っかってやっただけでも感謝しろ」


「そうでしたね、私の負けです。どうやら未衣子さんは、ボスが睨んだ通りの子のようで」


「いいや、想像以上だ」


そういうと、隣に再びやってきたボスに――抱き寄せられた。

おかげで私、ボスの胸の中に顔を埋めてしまったわけで……


(うわぁ……!!)


なにこれ。なにこれぇえ!!

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