甘々なボスに、とろけそうです。


アイボリーのボウダイ襟のブラウスに、黒の膝より少し長い丈のフレアスカートに、黒いパンプス。

黒いハンドバッグはショルダーにもなるタイプの、A4サイズの書類だって入っちゃうビジネスバッグ。


「こんなの……」


喜ぶに、決まっているじゃないですか……ボス。

私にはどれも勿体ないくらいの可愛さ。

にしても、服も靴も、全てのサイズがピッタリ。なんだか童話の中の主人公にでもなったみたい。

だが、これからカボチャの馬車が迎えに来るわけでも、お城の舞踏会に招待されるわけでない。

仕事するのだ。


「……っ!」


サロンを出て数メートル歩いただけなのに、ぐらついてしまった。なにせこんなにヒールのある靴を履いたのは、初めてなもので。

6,7センチくらいだろうか。街中で見かけるのは、もっと高いものも多いように思うが……よく歩けるなぁ。

お洒落は足下から、なんてどこかで聞いたことがあるけれども。慣れるまでは気を抜くと転びそう。

いくら全身磨いてもらって、セットアップまでしてもらおうが、私は私。

中身は、どこにでもいる、大学生である。

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