甘々なボスに、とろけそうです。
05:モロハノツルギ
モロハノツルギ
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社員証を使って会社の入り口をくぐると、それを鞄に戻すか首にかけるか悩み、首から下げておくことにした。
私は怪しい者ではありませんよ皆さん……!
という、ささやかなアピールだ。
もうすぐ、またボスに会える……そう思うと、胸の鼓動が一層激しくなるのがわかる。
「あら、ミーコちゃん」
えっと……たしかこの女性は、サナエさん。一見、ウィルくんくらいのお子さんがいるとは思えない、ショートカットの美人ママさん。
「どうしたの? すっごく綺麗になっちゃって!」
「……私、夏休みの間、ここで働くことになりまして」
「そうなんだ。よろしく」
ニッコリと、笑ってくれる。私が働くことに驚く様子もない。サナエさんの笑顔に、少し緊張がほぐれる。
「よろしくお願いします!……それで、身なりを整えてきました」
「服装なんて、適当で大丈夫なのに」
(!?)
「でも、皆さん、すっごくお洒落です……!」
見渡してみると、やはり、住む世界が違う雰囲気の美男美女ばかりいるわけで。
「ウィルくんなんて、真っ黒なパーカー着てるわよ」