甘々なボスに、とろけそうです。
05:モロハノツルギ


モロハノツルギ
________*



社員証を使って会社の入り口をくぐると、それを鞄に戻すか首にかけるか悩み、首から下げておくことにした。

私は怪しい者ではありませんよ皆さん……!

という、ささやかなアピールだ。

もうすぐ、またボスに会える……そう思うと、胸の鼓動が一層激しくなるのがわかる。


「あら、ミーコちゃん」


えっと……たしかこの女性は、サナエさん。一見、ウィルくんくらいのお子さんがいるとは思えない、ショートカットの美人ママさん。


「どうしたの? すっごく綺麗になっちゃって!」


「……私、夏休みの間、ここで働くことになりまして」


「そうなんだ。よろしく」


ニッコリと、笑ってくれる。私が働くことに驚く様子もない。サナエさんの笑顔に、少し緊張がほぐれる。


「よろしくお願いします!……それで、身なりを整えてきました」


「服装なんて、適当で大丈夫なのに」


(!?)


「でも、皆さん、すっごくお洒落です……!」


見渡してみると、やはり、住む世界が違う雰囲気の美男美女ばかりいるわけで。


「ウィルくんなんて、真っ黒なパーカー着てるわよ」

< 77 / 194 >

この作品をシェア

pagetop