甘々なボスに、とろけそうです。
「いつ戻られますか?」
これからどうするべきか、聞きたいのだけれども。
「さぁ。社長のスケジュールは私にはなんとも。あの2人が一緒に出て行ったとなると、しばらく戻らないかもねぇ」
そんな……!
「えっと、里香子さんは……」
どこに行ったのかな。会社には戻っていないのかな?
「リカコさん?」
あれ。サナエさん、里香子さんのこと知らない!?
里香子さんは、ここで働いているわけじゃないのかな。だったら、余計なことは話さない方がいいだろうか。
「あぁ、もしかして、社長の妹さんの?」
「はい!」
よかった、サナエさんは里香子さんのことを知っているみたいだ。
「上の階で働いてるわよね」
(え……)
ここで働いてるわけじゃないのか。ということは、さっきは私を案内したり服などを渡すために、わざわざ仕事を抜けてきてくれたのかな。
「猫垣……未衣子」
サナエさんが、私の社員証をまじまじと見て、名前を読み上げる。
「もしかして、猫垣くんの……」
「あ、はい。ここで働く猫垣裕樹の……妹です! 兄がいつもお世話になっています」
自己紹介が、遅くなってしまった。