【謎解き】さよならは言わない。
E
四問目を解いた。
前の問題と似すぎていたために、驚いたが、ちゃんと違う問題だった。
もう、封筒の数も少ない。
イヤだ。 解きたくない。
謎を解いている時は、ひかるを感じられる。
『えーと……』と悩む私に『こんなのも分からないの?』なんて、にやにやと笑う。
逆に私が、すぐに解いて『はやっ!? これ、作るの大変だったんだよ!』と、悔しそうにする。
今になって思えば、ふたりでいた何、なんでもない瞬間も幸せだったんだ。
でも。
そんな幸せな瞬間はもう2度と訪れない。
ふと、気付く。
これは、『最期のおせっかい』だ。
死を受け入れない私に、ひかるとお別れする時間をくれたのだ。
いくら親友だからと言って、自殺するときにそんなことまで考えてくれるなんて。
優しい。
優しすぎる。
だから、自殺なんてするんだよ。
周りの誰も責めれなくて、自分で全部かかえて。
親友なら、もっと頼ってほしかった。
もっと、支えたかった。
私だけには、苦しいのも、悲しいのも打ち明けてほしかった。
言いたいことも
伝えたいことも
怒りたいことも
謝りたいことも
たくさんある。
なのに、死んじゃうなんて。
次の封筒は、小物入れの横にあった。
小物入れには、昔は、一緒に買いに行った腕時計や、誕生日にあげたアクセサリーがしまってあったが、もう空になっていた。
ふたりともどうしてもほしくて、街中の店という店をまわって買った、腕時計。
1つしか見つからなくて、どっちが買うか、譲りすぎてケンカになって、最後は私が、無理矢理買って、無理矢理プレゼントしたものだ。
その後、ひかるはこっそりさらに腕時計を探しまわってくれて、プレゼントし返してくれた。
バカみたいな話だけど、今では、何よりも大切な思い出だ。
アクセサリーにしたって、いろいろな思い出がある。
思い出をしまうように、大切に小物入れのふたをそっと閉じる。
そして、私は、次の封筒を開けた。
封筒には、『E』と書かれている。
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←ざ
↑
ゃ
↑
あ
←あ
←た
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