太陽の笑顔
『梨華ー!』


遠くから叫ぶ
声が聞こえた。


『祐次!うるさい!』


『梨華。伊藤は
そういうやつ
なんだって。』


直子は、
笑いをこらえられずに
苦しそうに笑ってた。


『今日クラブある?』


『ないけど。』


『じゃあ帰りさ、
ちょっと付き合って』


ドキっとした。


『梨華?』


『あっ。ごめん。』


固まってたみたい。


『じゃあ校門で。』


『あっ。うん。』


祐次は、
またクラスの輪の
中心に戻っていった。


『梨華っ!』


『うわっ。』


『何て声出しとん?』

『ごめん。』


『何の用事かなー』


『えっ?』


『伊藤だょー』


『あー。』


『あー。って』


『祐次が何考えてるか
全然分からんもん。』


『まー頑張れ。』


『頑張れ。って』


『そろそろ言えば
いいのにー。』


『言えるわけ
ないじゃんか!』


『伊藤かっこいい
って人気だょー?
誰かにとられる前に
付き合わなきゃ。』


『祐次には
好きな子いるんだよ』


『えっ?』


『祐次には
好きな子がいるの。』


『誰?』


『それは知らない。
でも祐次が言ってるのを聞いたの。』


『そっか。』


『あたしは友達でいいんだって。』


『なんで?』


『告白して振られて
友達じゃなくなるより
一番近くで祐次を
見てたいんだもん。』


『梨華…』


『だから告白しない。』


『そっか。』



そう決めたんだ。

祐次の傍にずっといたいから友達でいるって。
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