私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
源之助の家はとにかく広い。
ビルのワンフロアをそのまま住処にしているのだから、広いのは当たり前だけれど。
彼の話によると源之助、由伸、光二、そして最初に玄関先で会った享の4人でルームシェアをしているとのことだ。
4人とも大学時代からの友人で、ずっと仲がいいらしい。
「でも、なんで一緒にまで暮らしてるんですか?」
ふと疑問に思ったことを口にした。
「んー?だって、この家に一人じゃ寂しすぎるでしょ。だからだよ」
「そうなんですね」
財閥のお坊ちゃまだと色々と寂しい経験もしてきているのだろうか。
友だちを大事にしているっていいな。
そういえば、FURADAのショップに来ている時も源之助は誰かにひどい言葉を投げつけたりはしていなかった。
あまりにしつこく来るので邪険にしてきてしまったけれど、実はそんなに悪い人ではないのかもしれない。
こうやって現に家がなくて困っているあずさにも住むところ(しかもビルの52Fというハイグレードな部屋)を提供してくれようとしている訳だし。
「ここが、あずさちゃんの部屋だよ」
カードキーをかざし、「ピー」と効果音がして鍵が開く音がする。
源之助が部屋の扉を開けると、そこには信じられない光景が広がっていた。
「な……なにこれ?」
「んー?俺とあずさちゃんの愛の巣だよ」
「はあ?」
そこにあったのは、なんとも大きい円型のベッドに大量のフリルのシーツ。
そしてレースの天蓋までついている。
白いゴシック調の机に椅子。
シャンデリア。
女の子だったら誰もが一度は憧れるような部屋だろう。
20畳ほどの部屋の奥には、さらに扉があってそこには大量の靴や洋服が入るクローゼットがあった。
まだそこには何も置かれていないが、海外ドラマのお金持ちの女の子の部屋のようだった。
ただ1つを除いては。
「なんで、ここにベビーベッドと小さなジャングルジムがあるんですか?」
「ああ、それ?いつか生まれる俺たちの赤ちゃんのために」
うっとりと言う源之助。
頭がクラクラする。
「いや、誰がお前と結婚するか!ってか、家が見つかったら出ていくわ!」
「あずさちゃん、ひどい!」
前言撤回だ。
なんで、こんな男を一瞬でも優しいと思ってしまったのだろうか。
いや、部屋はかわいいけれど。
天蓋付きのベッドとかお姫様ベッドみたいで素敵だけど。
なんでベビーベッドまで?
え、子作りしろってか。
お前と子作りしろってか!?