私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
源之助に連れて行かれたレストランは、ビルの55Fにある会員制のVIPラウンジだった。
玄関にはもう一つエレベーターがあって、VIPラウンジに向かうため専用らしい。
高そうな絨毯に、ふかふかのソファー。
シルクで出来たたくさんのクッションに囲まれながら、腰を下ろす。
ガラスでできたテーブルの上には、キャンドルが置かれていた。
天井は高く、上からシャンデリアがぶら下がっている。
そこで、平然と「お任せコースで」と言う源之助。
メニューなんてものそこには存在していない。
会員制と言うだけあって、芸能人でも大御所と呼ばれるような人が普通に座って友人らしき人たちとお酒を飲んでいる。
テレビに出てくるような政治家もいた。
自分だけが場違いな気がして、あずさは居心地が悪かった。
こんな世界に源之助は身を置いているのだ。
「お任せで大丈夫だった?勝手に頼んじゃったけど」
「いえ、大丈夫です」
「あずさちゃん、好き嫌いなかったよね?」
「あ、まあ」
なんで、そんなこと知ってるんだ。
初めて一緒にご飯食べに来るのに、全て把握されているので安心と言えば安心なのだろうが、怖いと言えば怖い。
「大変お待たせいたしました。松平様」
タイトルネックのタイトなワンピースに身を包んだ、ボブカットの美女が料理を運んでくる。
人差し指には大きな「K」の文字のゴールドのアルファベットリング。
柔らかいムンクの香水の香りがした。