私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
「……」
どう答えていいのかわからなかった。
普段みたいにふざけている訳ではないのは、よく分かる。
流石のあずさでもここで下手な回答をしてしまってはいけないと感じてしまった。
だからこそ、こちらも真面目に言わなくてはいけない。
「……源之助さんの気持ちはうれしいけど」
「待って。君はまだ僕のことをよく知らないよね?知ろうともしていない」
「……」
「もう少し、あと一週間。僕と暮らしてみてよ」
期限を決められる。
彼は優しく、あずさの頭を撫でた。
「考えるのはゆっくりでいいから」
たまらなくなって、あずさは黙ったまま部屋へ戻った。
真剣に言ってくれた源之助のことを考えると失礼なことは分かっていたが、どうしても一人でもう一度考える時間が欲しかった。
冗談ではないんだよと言われたことで、真面目に考えなくてはならなくなった。
源之助のことを、自分はどういう風に思っているのだろう。
一人残された源之助はソファーに座って深い溜息をついた。
「随分、下手なばくち打ちをしたね」
どこからともなく吉伸が姿を現してニヤリと笑う。
どうやら一部始終を覗いていたようだ。
「悪趣味だなあ……」
「だって、あずにゃんの気持ち置いてきぼりで源之助の暴走っぷりはすごかったよ」
「自分でも分かってる……でもどうしようもないんだ」
「なんで、あの子がそんなに好きなの?」
吉伸は煙草に火をつけながら、彼は源之助に尋ねる。
「だって、あずにゃんいつも真剣に俺の好きなものを考えてくれるから」
「は?」
「コーヒーを初めてFURADAに買いに行った時、俺だけじゃなくていろんな人に一生懸命考えてたし」
「ふーん。で、本当は?」
「顔、あとおっぱい」
「最低だな、お前」
苦笑いしながら、吉伸が言う。
「でも最初は顔が本当に好みだったけど、それだけじゃこんな風にしないよ。割と本気なんだ」
「光之助さんも動いているしな。あずにゃんけっこう狙われてると思うぞ」
「……そうなんだよな。なのに、あずにゃん不動産探すとか言うから」
「そりゃ好きなところ、顔とおっぱいとか言っている男なんか嫌だろ。俺ですら貞操の危機を感じるわ」
「それは冗談だって」
「いや、割とマジで言ってたね。付き合い長いからわかる」
「で、例の件あずにゃんには伝えたのか?」
吉伸がそうだ!と思い出したように言った。
「いや、まだだよ。それを伝える前に部屋に戻ってしまったからな」
「今夜だろ。早く言いに行けよ」
吉伸にせかされて、源之助は席を立った。