私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
一方リビングルームでは、源之助がうじうじと悩み、吉伸がうんざりした表情で動画を編集しながら源之助をなだめていた。
「だーかーらー。あずにゃんに誤りに行けばいいじゃん。そして今夜のパーティー誘って来いよ。不動産も付き合えばいいだろ。パーティー行く前に」
「でも、あんな風なあずにゃん初めて見たし……もう完全に嫌われたかもしれない」
「そんなん知らねーよ。うーん。ここ、この音楽でいいと思う?」
「いいと思う。じゃなくて!」
「占い師じゃあるまいし、行動を起こしてみないと俺だって先は読めないね」
でも……と男らしくない態度で、源之助がうだうだしていると休日出勤していた享が帰宅した。
「パーティーは間に合いそうでよかった。って、なんで源はこんな屍みたいになってんの?」
「愛しのあずにゃん怒らせたんだぜ。好きなのは顔とおっぱいらしい」
「うわぁ……クソだな」
鼻で笑って享は源之助を蔑んだような視線を送った。
「だから!冗談だっつの!性格や彼女の内面も好きだよ。まじで」
「そんなに好きなのに、うまくいかないのも可哀相な話だよね」
「まあな。ってか吉伸、昨日のFURADAの動画面白かったぜ」
「ありがとう。あずにゃんに手伝ってもらったんだ」
源之助を無視して、二人の会話は弾む。
「ねー。俺の話も聞いて……」
「だから、早くあずにゃんのところ行って来いよ。俺らに出来るのは、お前の背中を押すことで、代わりにあずにゃんを連れてくることではないぞ」
吉伸に本気で活を入れられて、源之助はソファーから起き上がった。
「うう……もうこれでフラれるの何回目なんだろう……」
「101回くらいプロポーズしてこいよ」
「何で101回?」
享の言葉に吉伸がツッコミを入れる。
「二十年前くらいのドラマであったろ。フラれても何度も諦めない根性あるっつーかストーカーつうか。小さい頃母親が好きでさ」
「へえ……日本のドラマって変にガッツのある内容放送してたんだな」
パソコンのキーボードを打ち込みながら、感心したように吉伸は言った。
源之助が「ストーカーじゃねーし」とブツブツ文句を言いながら、リビングルームを後にしようとした時、光二が部屋に入ってきて静かに言った。
「あずささんが、部屋にいないぞ」