私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
「あの……」
「こちらへ」
静かに言われて、あずさは圭のあとをついていく。
「あなたも不運な方よね」
「はい…?」
「家を失って、拉致されて、更にはこれから辱めを受けさせられそうになっているんだもの」
「辱め?」
人気のない場所に連れてこられ、圭は厳しい表情で言った。
「松平源之助と付き合うってそういうことよ。自覚が足りないわ」
「……」
これ以上どうしろと言うのだろうか。
家が無くなったことは不可抗力だ。
「選んでちょうだい」
「……」
「あなたがどうしたいか。それで次第によっては協力するわ」
「……え?」
「あの女、私嫌いなのよね。相手の気持ちも考えずバカみたいじゃないの」
意外な言葉が出て来て呆気にとられるあんずに、圭は「で、どうするの?」と尋ねた。
「どうするって……」
「あなた、あのままバカにされていい訳?」
「バカにされている訳じゃ……」
「バカにされていたわよ。このままのこのこ家に帰ってもまた同じことになるわよ。こういう時に源之助様を使うのよ」
今、あっさり使うって言いました?
というツッコミはしていいのだろうか。
「あの……」
「少しだけよ。少しだけ力を貸してあげるわ」
ニヤリと笑って圭が言った。
美しく妖艶な彼女が勝気な様子で笑うと、非常に頼もしく感じた。