私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
「え、あずにゃんが?」
人がはけ始めた頃、二人の親友は源之助を会場の端に連れて行く。
「お前しか扱えないだろ。あの女のこと」
ぶっきらぼうに享が言った。
麗華が源之助にぞっこんなのは、知っていた。
彼女が言うことを聞くなら、今のところ源之助しかいないだろう。
「本当に?」
「光二が言うんだから、間違いないだろ。警備室のデータにも彼女の帰ってくる映像は残ってなかったんだ」
吉伸の説明に、源之助は頷いた。
「わかった。話をしてみよう」
彼はそれだけ言うと、麗華のところへ歩いていく。
「麗華さん」
「あら、源之助さん。忘れられていたかと思いましたわ」
嬉しそうに顔を輝かせて、麗華は言った。
まるで、何も知らないというような様子である。
「今日、連れの方に女性の方がいらしたと聞いておりますが」
「女性?何のことですの?」
首を傾げて、麗華はあたりを見回す。
「あの女、とぼけやがって」
享の悪態が聞こえてきたは、源之助は無視を決めて麗華に話を続けた。
「どうやら私の勘違いのようでしたね」
笑いながら言う源之助に麗華はニッコリと微笑んで「誰でも勘違いすることはございますわ」と彼の手を優しくとった。
「麗華さん?」
「私、今度お父様に正式にお申込みしようと思っていることがございますの」
「……お申込み?」
「前からお話しございましたでしょう?私と源之助さんの婚約のお話し」
そういえば、そのような話が浮上していたこともあったと記憶の底から情報を拾いあげる。
「そうでしたっけ?」
「嫌ですわ。覚えていらっしゃるくせに」
「今日の麗華さんはやけに積極的で、珍しいですね」
上手くかわしていこうとするが、麗華は逃がさないとばかりに源之助にに詰め寄る。
「もっと早くに気持ちを決めてお伝えしていれば、今日のパーティーも婚約パーティーだったのではないかと思いまして、私後悔しておりましたわ」
「どうやら、麗華さんはお酒を飲み過ぎてしまったのかな。今日は、ゆっくりされた方がよろしいかと」
「酔ってなんかいませんわ」
人がたくさんいるところで、麗華は大胆に彼に抱き着いた。
今日の主役は源之助だ。
嫌でも、そのやり取りに注目が集まる。
「皆さんが見ていますよ」
「見ればいいんです。源之助さん」
「……」
「好きな方でもいらっしゃいますの?」
静かに聞かれる。
彼が頷こうとした瞬間「これはめでたい話だ。私の弟が、別所財閥の令嬢と婚約をするなんて」と聞きたくない声が彼の耳に入った。