私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
「で、結局お前も来たんかい!」
一連の流れを聞いて、享が源之助にツッコミを入れる。
先ほどまで怒っていたが、吉伸のご馳走と聞いて機嫌を直したようだ。
「でも、なんでこのバーがダメなんですか?」
辺りを見回すが、高級そうなバーであること以外何も問題はなさそうだ。
「あずにゃん。バーテンダーの顔よく見てごらん」
吉伸に囁かれて、あずさは意識をそちらへ持って行く。
若い男性のお兄さんたちが爽やかにシェイクしていること以外何も問題はない。
「ときめく?」
吉伸に言われて首を横にふる。
「なんで、お店のお兄さんにときめくんですか?」
「まじか。相当なおニブさんだね、あずにゃん」
「吉伸、あずにゃんで遊ぶな!」
まるで威嚇をするかのように、吉伸を睨み付ける。
「怒るなって。ちょっとからかっただけじゃん。それにあずにゃんが顔だけで男を選ぶような女の子じゃないってことも分かったし、一石二鳥でしょ」
「顔ですか?」
「ここは、イケメンバーテンダーが多いってことで有名なんだよ。ちなみに、俺も今の動画が軌道に乗るまではここで働いてたけどね」
そう言われて辺りを見回すと、確かに女性客が多く、顔が整った男性店員が多いような気がする。
「なんだかんだ言っても源はイケメンだから、見慣れてるだけなんじゃねーの?」
身内のよく目とかそういうことではなく、享が言った言葉に納得した。
確かに、何だかんだ行って源之助だけではなく、享、吉伸、光二も整った顔の持ち主である。
「で、そんな話をするためにここに連れて来ている訳じゃないだろう?吉伸」
「あ、ばれた?」
光二のニヤリと笑う、吉伸。
「まあ、さっき享が見つけたんだけどさ。俺たちの家、盗聴されてる」
「ええ!?」
と声を上げたのはあずさだけだった。
他のメンバーはシレっとした表情である。
盗聴って犯罪だよね。
なんで、そんなに冷静なの?
「光之助兄さんか?」
「さあ、分からない」
「ただ置かれていたのはリビングルームだけ。その他は特になかった」
「じゃあ、データを盗もうとかそういう享狙いではないということか」
光二が唸る。
「俺たち以外でリビングルームに入ったことがあるのって、あずにゃんをのぞくと光之助さんだけだもんな」
「仲間に入りたいとかそういうことではなさそうだよな」
真面目な顔をして、言う源之助の頭を享がはたく。
享は本当に源之助の付き人なのだろうか。