私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
「まあ、一番みんなに聞きたいのは、放置するか相手を突き止めるかのどっちにしたい?って話なんだけどさ。先日のあずにゃんの誘拐未遂の件も含めると、下手な動きはしにくいと思うんだよね」
「確かにそれも最もな話だ」
光二が頷きながらマティーニを飲み干す。
もう一杯をバーテンダーに空のグラスを突き出していた。
酒癖は悪いようだ。
「でもさ。動かないでいいようにされるのも俺としては嫌なんだけど」
享が不機嫌そうな表情で言う。
「あとは、源がどうしたいかだよね。俺らはそれに合わせて動くよ」
ジャズの音楽が店内に静かに流れている。
源之助は静かに座って考え込んでいる。
あずさはその様子を黙ってみていた。
部屋の中が盗聴されているなんて、考えもしなかった。
明るい表情でいつもいる源之助も苦労をたくさんしてきているのだ。
それにも関わらず、そんな素振りも見せていなかった。
「源之助?」
吉伸が顔を覗き込む、いつになく真剣な表情でいる源之助に「そりゃ、ショックだよな。いくらお前でも」と言っているとブツブツと何かつぶやている。
「どうした?」
「いや、何でもないよ」
笑顔で言う源之助。
「……?」
「吉伸、享、光二。盗聴相手捕まえて、社会的復帰が出来ないようにしよう」
彼にしては珍しく、過激な発言だ。
「まあ……犯罪だし、捕まれば社会的な復帰というより社会的に傷はつくよな」
「だって、あずにゃんのかわいい声を相手は録音してるんだよね。俺ですら録音したことなかったのに……!」
くそ!
と拳で太ももを叩く源之助を見てあずさは静かに「この人も社会的復帰ができないようにしてください」と彼らに言った。