私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
夕方になっても夜になっても源之助は帰って来なかった。
「大丈夫ですかね?」
「大丈夫なんじゃない?総帥が来てるらしいから。あ、お弁当届けたらめちゃめちゃ喜んでたよ」
「総帥?」
「今のね、まあ、源が次期総帥だけどさ」
吉伸の説明に何となく頷く。
「そうなんですね」
「あの人が動けば、何とか回ると思うから。今週中にはどうにかなるんじゃない?」
「それでも今週いっぱいまではかかるんですね」
「……心配?源之助のこと」
白い歯を見せて、吉伸はからかうような口調で言った。
「し、心配なんかしてないですけど……」
「けど?」
「吉伸さんは心配じゃないんですか?親友の一大事ですよ」
「俺はあいつのこと信頼してるから大丈夫」
「そういう問題ですか?」
「そういう問題」
「でも、犯人見つかってないんですよね」
店長の中村から仕入れた情報をベースに話を進めると、吉伸は少しだけ寂しそうに笑って「それは源之助には言うなよ。あいつが一番こたえてるはずだからさ」と言った。
結局源之助が帰宅したのは、夜中の二時半だった。
物音がして目が覚める。
普段は全くいかないのだが、少しだけ心配になって源之助の部屋と繋がっている扉を開けた。
「大丈夫ですか……?」
「うええ?あずにゃん?」
まるで疲れなど見せないかのような嬉しそうな表情で源之助があずさに飛びついてくる。
やっぱり来なきゃよかったかも……。
「……はなしてください」
「心配してくれたの?」
優しく抱きしめられて、頭を撫でられる。
「……別に心配なんかしてないですけど。大丈夫かなって」
「それ、世間では心配って言うんだよ。あずにゃん」
「……じゃあ、心配してます」
「ははは。ありがとう」
「……無理はしないでください」
「うん」
「お弁当食べれました?」
「最高に美味しかった。あずにゃんの味がした」
「言い方気持ち悪いです」
「え?そう?」
「うん」
「あー、ヤバい」
「なんですか?」
「キスしていい?」
唐突な言葉に慌てて身を引くあずさ。
別に今更処女って訳でもないが、改めて質問されてしまうと身構えてしまう。
「何バカみたいなことを言ってるんですか?」
「バカみたいって。こんな夜中に堂々と夜這いに来ておいて何を言ってるの?あずにゃん?」
「だ、誰が夜這いなんか……!」
「じゃあ、選んで。俺と朝まで何もしないで一緒に寝るか、今からめちゃめちゃ深いベロチュウされるのどっちがいい?」
「はあ?どっちも嫌です」
「駄目だよ。今夜は返さない」
「意味不明です!バカ!」