私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
その日は特に変わったことも訪れず、就業時間まで普通に働いた。
源之助はオムライスを食べたのだろうか。
……いやいや、私はお母さんか。
頭の中でツッコミを入れつつ、仕事をする。
乾いた風が街にふいているらしく、水分補給のために冷たいマンゴーソルベティーがよく売れた。
「日下部さん。そろそろ上がりの時間だよね」
スタッフの大橋さんに言われてあずさは頷く。
今日は店長が休みの日だ。
「ありがとうございます。ゴミ出しだけやってから帰りますね」
「すみません」
「はーい」
返事をして、エプロンを自分専用のロッカーの中に入れると、あずさは店のゴミを裏のゴミ捨て場まで持って行く。
相変わらず、薄暗く嫌な臭いだ。
そこに声が聞こえた。
「今夜、このビルごと爆発させる」
「……!?」
「準備は全部整った。あとは実行に移すだけ」
悪戯にしてはなぜこんなところで?
ということになるし、もし本当だったらそれは大変なことだ。
すぐに源之助に知らせないとと動こうとした瞬間「誰かいるの!?」と存在に気付かれてしまった。
動け。
動け、私の足。
こういう時、人間というのはすくんで動けなくなってしまうらしい。
息をひそめているが、背後から衝撃が走る。
そして意識を失う瞬間、その人物を見てあずさは言った。
「あ……あなたは!」