私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
「だからって、こんなこと何で圭さんが……」
「仕方ないわよ。あの人の命令だもの」
「あの人?まさか……光之助さん?」
反応がないということは当たっていたのだろう。
自分が跡継ぎになれなかったからと言って、ここまでするだろうか。
「あなたには分からないわよ。1番になれなかった人間の苦しみなんて」
「……」
「候補に選ぶだけ選んでおいて、結局使えないと分かれば、ポイ捨て。捨てる方は何でもない選択をしただけだけど、捨てられる方の気持ちなんて考えちゃいないのよ」
「……だからって、こんなこと犯罪じゃないですか」
「犯罪?」
クスクスと笑って圭は言った。
「……」
「お嬢さん、知ってる?バレなきゃ犯罪じゃないのよ」
「……」
まるで小学生の言い訳みたいだ。
光之助と接していても思ったが、あまりにも思考が幼すぎる。
勉強が出来たり、社会的地位が高いだけに厄介だ。
「圭さん……お願いします。外してください」
「駄目よ。犯人はあなたになってもらう予定。松平財閥の命運をあなたが握ったなんてロマンチックじゃない?わざわざあなたの家を火事にした甲斐があったわ」
「家の火事も圭さんが犯人だったんですか?」
まさかの自白。
そこからすべて関連していたなんて。
「予想通り、源之助があなたをこのビルに招き入れてとても事がスムーズに進んだわ。ありがとう。そしてさようなら。ちなみにあと10分しないうちに11階から41階まで火災が発生する予定だから逃げるなんて考えないことね」
まあ、こんな高さからじゃ逃げられないでしょうけど。
クスクスと笑って彼女は出ていった。