私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
少しだけ和やかな空間が会議室の中を覆った時、突然、享のスマートフォンが着信を告げた。
「会社からだ」
本日は有休申請書を出していたはずなのに、休日に連絡がくるなんて珍しい。
「はい?」
享が電話に出ている間、八之助は「源之助。援助の人を出来るだけ集めろ。今すぐじゃ」と静かに呟いた。
「人ですか?」」
「何か嫌な予感がする」
「招致しました。このビルにですね」
「そうだ」
指示を受けて、源之助は部下に指示を出す。
何か起こっている訳ではない。
ただ総帥の命令だと言えば、人は集まる。
「なんだ?」
光二が眉を顰めた。
「わからない。でも、何か起きる」
そう源之助が言った瞬間「源之助!」と享が珍しく大きなヒステリックにも聞こえるような声で言った。
「どうした?」
「メイン……メインコンピューターが」
「コンピューターがどうした?」
「データが全部、消えてると」
「は?どういうことだよ」
光二が享に詰め寄った。
「享、落ち着いて話せ」
源之助が極めて冷静に言った。
普段はふざけているが、こういう非常事態になると彼はとにかく冷静なのである。
そこが光之助と源之助の違いだった。
興味がない訳でもやる気がない訳でもない。
とにかくその時の最善の方法を考えるのが、源之助はうまいのだ。
「このビルのメインデータ……つまりは電話回線、インターネット回線、その他回線が全部バグった」
「……!」
「……!」
「……!」
「原因は不明だ。俺、ちょっと会社に行ってくる」
そう言って享は走って会議室を出ていった。
「ちょっと、待て!享!」
声をかけるも彼は去ってしまった後だった。