私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
光之助と出会ったのは6年前。
パリで行われたミスユニバースワールド大会だった。
優勝が出来なくて、準優勝にも入ることが出来なくて。
去年もその前の年も日本は入っていたのに、やっぱり今年は駄目だったか。
そんな自分自身を否定するような言葉は言わないで。
たまらなくなって会場の外に出た時に、光之助はいた。
「うちの財閥も協賛していたのだけどね……」
そう言葉をかけて泣きじゃくる圭を引っ張り上げてくれたのだ。
「パリのお店で食事でもしませんか?」
ニッコリと笑って言うその男は、今となって考えたら絶望に打ちひしがれた女の手駒を一人作っておきたかっただけなのかもしれなかった。
ただ、そんな時に一緒にいてくれたという事実だけで惚れ込むのは一瞬だった。
まるで縋りつくように身を重ねた。
付き合うことはしなかった。
それが財閥男と一緒になることだと思っていたからだ。
財閥の男と結婚するのは社会的ステータスがある女だけだ。
大会で優勝できなかった日本代表のままでは、彼とは一緒になることは出来ないと思った。
結局愛人のようなポジションのまま、世間に公表しないまま彼が呼びたい時に呼ばれ関係を続けている。
だから、今回日下部あずさのような女が財閥の女を押しのけてまで正妻の座を狙っているような事実が気に食わなかった。
別所財閥のお嬢様をけしかけるのは簡単だった。
虚栄心の強いお嬢様を乗せたらすぐに話に乗って来て、あっという間に拉致をしてくれた。
もうあの女もこの財閥の男に近づくことはないだろうし、後はあの日下部あずさがこのビルごと吹っ飛べば完璧だ。
「圭、次の作戦が成功したら、俺もそろそろ身を固める時期だと考えている」
きっと今度は幸せな毎日が待っている。
全ては光之助の指示なのだから。
作戦が終わった後、光之助に指示された場所まで歩いていくと、そこに立っていたのは圭の知らないスーツを着た男だった。
「警視庁、霜月と言います。高木圭、器物破損及び、爆発物破裂などの罪で逮捕する」
「……どういうこと?」
「大丈夫です。あなたを愛する男も一緒にいますから」
彼の指す方向を見ると、取り押さえられた光之助が項垂れて「俺じゃない!あいつが勝手にやったんだ。あの女のせいだ!」と言っている。
「……なんて短い夢なの」
瞼をつむり、圭は溜息を吐き出すように言った。
どうして私の人生はこんなバッドエンドばかりなのだろうか。